ドラマ『ディア・ペイシェント』の原作小説ネタバレについて、まとめてみました!
ドラマの放送が開始されたディア・ペイシェントですが、どんなストーリーなのか、今後どんな展開が待ち受けているのか気になりますよね。
そこで、小説にもなっているディア・ペイシェントの原作をネタバレも含めて紹介していきたいと思います。
ディア・ペイシェント(ドラマ)の原作は?
ディア・ペイシェントの原作は、自身も医師の経験のある南杏子さんの書いた小説となっています。
真野千晶(貫地谷しほり)は、患者をしっかりと診て治療をする医師になりたくて、「患者さんを大切にする病院」として評判の高い佐々井記念病院にやってきます。
しかし、佐々井記念病院の実情は利益を優先するため診察時間を短くして患者を回し、患者を「患者様」と呼び、わがままを何でも聞くことで患者を獲得する経営方針の病院でした。
そのため、患者のわがままに振り回されたり、診察時間もひとり3分と決められていて満足な診察もできず、夜勤や会議もあり過酷な勤務体制の毎日に、理想と現実のギャップもあり、千晶は精神的にも肉体的にも疲れてしまいます。
そんななか、座間敦司(田中哲司)という患者が千晶にばかり絡んでくるようになります。
最初は千晶に好意的に近づいているのかと思っていましたが、千晶のプライベートを知っていたり、千晶の持ち物を盗み出したりとその行動はどんどんエスカレートしていき、千晶も座間に恐怖を感じるようになります。
そして、座間は千晶にクレームばかり言うようになり、それだけではとどまらずネットでも千晶や佐々井記念病院について中傷のような書き込みをするようになります。
佐々井記念病院では患者のことを「S・M・L」と分けて呼んでおり、
Sはスムーズで、手のかからない患者
Mはまどろっこしく、話がうまく進まない少しめんどくさい患者
Lは低気圧(low pressure)のように急に態度を変えたり、何をするかわからない患者で訴えてくるリスクもある患者
というように病院スタッフ内で区別していました。
自分が思い描いていた医療現場とはかけ離れており、頑張っても全く報われない現状に疲れていた千晶でしたが、内科医の先輩である浜口陽子(内田有紀)は千晶を気にかけ、優しくアドバイスをくれたりして助けてくれます。
明るくて頼りになる陽子は、患者からも病院スタッフからも慕われており、千晶も陽子のことを「頼りになる優しい先輩」として慕っていました。
しかし、いつも明るかった陽子にも以前勤めていた病院での医療ミスの疑いで、亡くなった親族から訴訟を起こされていました。
訴訟に負けそうになった陽子は追い詰められて、自ら命を絶ってしまいます。
患者のために誠心誠意尽くして頑張ってきた陽子が、自殺してしまったことに大きなショックを受けた千晶は、「患者様は神様」という佐々井記念病院の体制に改めて疑問を感じます。
陽子の葬儀には患者たちも訪れ、今までの陽子の対応に感謝の言葉をかけていました。
千晶は、陽子の患者に対する真摯な態度や気持ちは伝わっていたことに救われた気持ちになります。
しかし、陽子は亡くなったあとも佐々井記念病院の「患者様第一主義」の体制は変わることはありません。
それどころか、患者に刺される医師が出たり、認知症の患者による事故が起こったりと、次から次へとトラブルばかりが起こって千晶は参ってしまいます。
そんな時、千晶の通っているロシア格闘技の師範から励まされ、もう一度初心に帰って患者と向き合いたいと思い、尊敬する医師である父親に相談することにします。
父は、母の認知症が酷くなっていることもあり、千晶の妹にだけに負担をかけさせるわけにはいかないと病院を辞める決意をしていました。
母のことを妹に任せていたのは千晶も同じで、心に引っかかっていましたが、そんな千晶に対して父は「患者と一緒に病気に向き合え、誠実に向き合っていればきっとその気持ちは患者に伝わる」とアドバイスをくれます。
その父の言葉を受けて千晶は、佐々井記念病院にいてはなにも変えることはできないと気付き病院を辞めることを決意し、自分の力で、自分の信じる医療の道を歩むべく診療所を作ることを決めます。
座間を筆頭に、千晶たち佐々井記念病院の医師に問題ばかりかけてきた「モンスター・ペイシェント」ですが、実は佐々井記念病院のことを良く思っていなかったライバル病院から嫌がらせのために送り込まれていた患者たちでした。
利益重視で患者のことを対等に扱っていなかったツケが回ってきたことに、今まで経営を任せっぱなしだった院長も事務長に変わらなければいけないと意見します。
忙しさと病院のルールの中で、「自分の思い描く医師」の姿を見失いかけた千晶でしたが、患者にも患者にしかわからないつらさや、思いがあることを学び、自分の進むべき道を見つけ出すことができた千晶は、理想の診療所を作ることを心に誓い歩き出すのでした。
ディア・ペイシェント(ドラマ)の脚本・原案は?
ディア・ペイシェント(ドラマ)の原案は南京子さんによる小説で、脚本は荒井修子さんが担当しています。
日本女子大学を卒業したのち出版社に勤め、25歳で結婚します。
旦那さんの転勤でイギリスについて行き、長女を出産。
その後日本に帰ってきてから乳幼児の病気を取材した経験からもっと勉強したいという思いが強まり、33歳で東海大学医学部に入ります。
卒業後、都内の大学病院で勤務したのち、スイスへ移り、スイス医療福祉互助会顧問医を務めます。
日本に帰ってきてからは、終末期医療専門病院の内科医として勤務します。
夫の趣味で通っていた小説教室について行ったことをきっかけに小説を書く楽しさに目覚め、作家の五十嵐貴久さんのもとで勉強します。
2016年に終末医療や在宅医療について書いた「サイレント・ブレス」で小説家デビューを果たします。
この作品について南さんは「祖父を介護した経験や、自身が終末期医療の現場で見てきたことや学んできたことをミステリーの要素を含ませて書き上げた」と言っています。
2018年にはモンスターペイシェントに振り回される医師と患者の関係や、医療の在り方を考えさせられる「ディア・ペイシェント」を発表しており、高い評価を得ています。
【主な作品】
サイレント・ブレス
ディア・ペイシェント
日本大学芸術学部を卒業したのち、ドラマ制作会社に勤め2001年に脚本家デビューを果たします。
ツバキや文具店など人気ドラマを手がけるほか、オリジナルの脚本も制作しており、「蒼玉の令嬢」で小説家デビューも果たしています。
まとめ
「お医者さんは神様だ」と言われていた時代もあったけれど、今では反対に「患者様は神様だ」と言われてしまうようなことが本当にありえそうだなと考えさせられました。
確かに患者さんか来てくれなければ経営は立ち行かなくなってしまうけれど、そのために患者さんのご機嫌を取りながら何でも言うことを聞くというのは医師の立場からしてもきつい部分がありますね。
千晶も自分の理想とする医療を求めて佐々井記念病院に来たはずなのに、現実とのギャップと忙しさで心が折れてしまいそうになったけれど、そんな時にお父さんの言葉をきっかけに進むべき道を見つけることができて本当に良かったと思います。
※この記事のトップ画像は、公式サイトから引用させていただきました。