Netflixで配信された『地面師たち』は、実際に起きた事件をもとにした物語でスリリングな展開が話題を集めています。「原作との違いは?」「どこまでが実話?」と気になる方も多いはず。
この記事では『地面師たち』の原作との違いや実話の要素を整理し、さらに世間を騒がせた実際の地面師事件についても紹介していきます。
『地面師たち』の魅力を復習
地面師たちは、新庄耕が実在の事件を題材に描いた小説を映像化したクライム・サスペンスです。2024年7月25日からNetflixオリジナルシリーズとして配信がスタートし、綾野剛と豊川悦司のW主演という豪華な顔ぶれでも注目を集めました。
土地の所有者になりすまして巨額の金を儲ける不動産詐欺師「地面師」たちの巧妙な手口と、人間模様が緊迫感あふれる展開で描かれているのが大きな魅力です。
『地面師たち』原作との違いは?
地面師たちは、基本のストーリーラインは原作小説をなぞりながらも、映像ならではの演出やオリジナル要素が加えられています。ここでは、ドラマ版『地面師たち』と原作との違いを整理して紹介します。
物語の結末
物語のクライマックスとなる拓海とハリソンの対決は、原作とドラマでは大きく異なります。原作では死んでいない辰が重要な情報を伝えるのに対し、ドラマではオロチが焚き付けられて拓海を刺す展開が追加されています。
また、拓海が持つ武器や辰の登場タイミングも違っています。さらにラストでは、ドラマ版では雪山で狩りをするハリソンが描かれるのに対し、原作ではシンガポールへ逃亡し、次の獲物を狙う姿で幕を閉じます。
【長井の設定】原作ではより細かく描写
ニンベン師の長井は、ドラマと原作で大きく設定が異なるキャラクターです。原作では事故で顔に大きな傷を負い心を閉ざしていたことや、拓海との友情が丁寧に描かれています。
拓海に励まされた長井はネットを通じて恋人を得て結婚を決意し、幸せな未来をつかもうとしていました。拓海が捜査から彼を守ろうとする場面からも、2人の深い絆が伝わってきます。
【殺し方】ハリソンは原作ではもっと残虐?
ドラマ版『地面師たち』でハリソンが見せる殺しのシーンは、「最もフィジカルで最もプリミティブで最もフェティッシュ」と表現されるほど衝撃的でした。
しかし原作では手口が異なり、佐々木は自殺に見せかけて殺され、竹下は薬物の過剰摂取に見せかけて命を奪われています。ドラマではこの方法を「安っぽい」とハリソンに却下される場面もあり、原作とドラマでの描き方の違いが際立っています。
青柳の生死
不動産デベロッパーの青柳も、原作とドラマで大きく描写が異なる人物です。ドラマ版では車に轢かれて死亡してしまいますが、原作では同じように轢かれながらも命を落とさず、その後も自力で歩いて川井住職のもとを訪れます。
さらに後日、会社に出社する場面もあり、同僚や上司に追及される形で物語からフェードアウト。死を迎えるか否かという違いは、作品全体の印象にも影響を与えています。
辰の生死と夫婦の関係
ドラマ版『地面師たち』では衝撃的な死を遂げた辰ですが、原作では最後まで生きており、大きな役割を担っています。定年退職を迎えた後も情報屋から得た手がかりを拓海に伝え、ハリソンとの戦いにも駆けつけました。
さらに夫婦関係にも違いがあり、ドラマでは離婚寸前でしたが、原作では仲睦まじく旅行を楽しむ姿が描かれています。死と生、夫婦関係の対比は、ドラマと原作の大きな差といえるでしょう。
川井はホストにハマってない?
ホストにのめり込む姿が描かれた川井住職ですが、これはドラマ版『地面師たち』のオリジナルです。原作の川井は、劇団を主宰する既婚男性との不倫関係にあり、劇団の活動資金を支援していました。
ハリソンたちはこの事情を利用して土地売却の話を仕組み、ストーリーが展開していきます。また沖縄行きも、不倫相手の劇団公演を口実に仕掛けられたもの。人物像の違いが、物語の印象を大きく変えています。
実際の詐欺事件を紹介
『地面師たち』の元ネタとされるのが、2017年6月に起きた「積水ハウス地面師詐欺事件」です。積水ハウスは五反田にある土地を購入しようとしましたが、地面師グループが所有者になりすまして契約を結び、結果的に約55億5千万円もの巨額を騙し取られました。
日本の不動産史上でも前例のない規模とされるこの事件は報道を通じて広く知られ、地面師という存在を世間に強く印象づけるきっかけとなったのです。
『地面師たち』どこまでが実話?
『地面師たち』は、どこまでが実話でどこからがフィクションなのか、ここからは事件の概要とドラマとの違いを比較しながら見ていきたいと思います。
詐欺の規模と対象
ドラマ版『地面師たち』では、詐欺の規模や対象が実際の事件よりも大きく描かれています。
実際の事件では、五反田の旧旅館「海喜館」跡地の約55.5億円の詐欺でした。しかし、ドラマでは港区の一等地の寺が所有する土地が狙われ、被害額は100億円に設定されています。実際の2倍規模となり、スリリングさが強調されています。
犯人の逮捕
実際の積水ハウス地面師詐欺事件では、主犯格のカミンカス操をはじめ、詐欺グループのメンバー計10人が逮捕されました。
一方、ドラマ版『地面師たち』では、個々のメンバーの結末は明確には描かれていません。描写から予想できる範囲では、ハリソンや長井は逃亡、拓海は逮捕、麗子や後藤はおそらく死亡、竹下は死亡となっています。
事件後について
実際の積水ハウス地面師詐欺事件の後、旭化成グループが正式な所有者から土地を取得し、高層マンションの建設が行われました。この事件を機に、不動産取引における本人確認の重要性が改めて認識され、不動産業界や社会全体に大きな影響を与えました。
一方、ドラマ版では担当責任者の部長が死亡し、土地は誰にも売却されないという描写になっており、現実とフィクションで結末が大きく異なっています。
まとめ
地面師たちの原作との違いは、ドラマ化にあたり人物設定や物語展開にさまざまなアレンジが加えられている点にありました。また、ドラマで描かれる出来事の一部はフィクションで、実際の事件とは異なる部分も多くあります。
ドラマ版と原作、それぞれの違った魅力を味わいながら『地面師たち』の世界に浸ってみてくださいね。








